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経済・株式・資産

2018.10.12

第64回他力本願で独自の道を歩むドラッグストア「クスリのアオキ」

深読み企業分析

今や食品流通、日用雑貨流通において、圧倒的に存在感を高めている業態がドラッグストア業界である。しかも他の業種にとって厄介なのは、ドラッグストアは単一業態ではなく様々なバリエーションを持つことである。食品ディスカウンターとして急拡大しているコスモス薬品があれば、コンビニをターゲットに展開するウエルシアもある。様々なパターンがある中で、食品スーパーをターゲットに展開する企業が北陸を地盤とするクスリのアオキである。

ドラッグストアはかつて都市部の駅前立地でクスリと化粧品、日用雑貨を販売するマツモトキヨシに代表されるパターンが主流であった。しかし、この10数年でそのパターンは成熟化し、ドラッグストアもここまでかと思われた時期もあった。しかし、そのドラッグストアが郊外展開し、そこに加工食品を強化することで、ひとつの成長パターンを見出した。

典型的には九州のコスモス薬品があるが、加工食品卸と取引することで、手元に積み上がるキャッシュを原資に無借金で高速大量出店を可能とした。これは、加工食品卸と取引することで、売掛金+在庫-買掛金がマイナスとなり、売上増に伴ってキャッシュが手元に増えるメリットを活用したものである。

コスモス薬品はこのキャッシュを元手に大量出店を行い、九州から出発してすでに東海地方にまで展開エリアを広げている。ただし、すでに食品売上が55%に達して、これまでのような高速出店はやや難しくなりつつある。同業の多くも加工食品を強化することで、潤沢になるキャッシュを元手に高速出店しているが、コスモス薬品ほど極端に加工食品にシフトした会社は少ない。

その後の展開パターンは様々であるが、その中で極めて独自色の強い展開をしているのが北陸のクスリのアオキである。同社もすでに食品売上は30%となっているが、このまま加工食品ウエイトを高めるつもりはない。むしろ、生鮮3品+中食を強化して、食品スーパーの牙城を攻めようというスタンスである。

ただし、同社の賢いところは、自らやっても高度化が難しい、鮮魚、精肉、惣菜は外部の事業者に任せる方策を採っていることである。つまり、あくまでも薬品、化粧品、日用雑貨で稼ごうという戦略である。

同社は過去10年間で売上高を5.0倍にし、営業利益を7.6倍にしたが、その余勢をかって今期も16.1%増収、10.6%営業増益を目指している。

有賀の眼

餅は餅屋ではないが、自分の専門分野でない世界で勝ち残ろうとするのは無謀であるが、意外とそのようなチャレンジをする会社は多い。しかし、同社は食品スーパーの業態を模倣するにあたって、集客手段に関しては他力本願をうまく活用している。要は集客力を高めて、ドラッグストアが得意とする収益性の高い薬品と化粧品で稼ごうというのが究極の目的であるから、その目的に最も合致する方式を選べばいいことになる。

来店動機を高める方策としては、まずは加工食品の安売りがある。これは、加工食品卸売業に任せれば、他社とそん色のない品揃えができる。ただし、他業態と比べれば、販管費率が低いことから、食品の安売りが可能であり、食品で集客して、薬品、化粧品で稼ぐというパターンである。

そこに、調剤薬局も併設しているが、これは同社の専門分野である。しかも、調剤薬局は病院の目の前にある専門企業が多い。これがいわゆる門前薬局であるが、厚労省の方針で門前薬局は徐々に不利な立場に移行している。その点、同社は店内薬局であり、薬価改正の度に相対的な優位性が増している。

食品をさらに強化する方策として、生鮮3品を強化しているが、ここで儲けるのではなく、ここはあくまで集客目的とするために、コンセで専門業の他社を導入する方策をとる。

このように自己の強みと弱み、そしてビジネスモデルの効率性を考えて展開することは簡単そうで難しいものであり、かなり参考になるのではないかと思われる。顧客サイドに立てば、効率のいいワンストップショッピングが最も便利なはずであり、あとは品揃えと価格で及第点を取ればいいことになる。集客で困っている小売業は改めてこの点を考えてみてはどうだろうか。

講師紹介

有賀泰夫(H&Lリサーチ代表/証券アナリスト)

埼玉大学生化学科卒業後、新日本証券(現みずほ証券)に入社。1982年から約30年間にわたり、アナリスト業務に従事し、クレディ・リヨネ証券、UFJキャピタルマーケッツ証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券…等で活躍。主に食品、卸売業、バイオ、飲料、流通部門を得意とし市場構造やビジネスモデ...>もっと見る

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